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ジムに通って2ヶ月、背中の日だけ手応えがないあなたへ。
仕事帰りの20時、ラットプルダウンが空くのを待って座り、40kgを10回引く。
3セット終えて立ち上がると、張っているのは腕と手のひらだけ。
次に何をすればいいかも決まらず、結局ランニングマシンで15分だけ歩いて帰る。
そんな経験ありませんか?
背中に効かない原因は、才能でも重量でもなく、フォームのズレ3つです。
この記事を読み終えるころには、明日座る3台のマシンと開始重量、そして「効いた」と自分で判断する基準がわかるでしょう。
もくじ

背中を鍛えるなら、まずはマシン3種目に絞りましょう。
ジムには背中を鍛えるマシンが多数ならんでいますが、すべてを覚える必要はありません。
理由は単純で、種目を増やすほどフォームの習得が分散し、どれも中途半端になってしまうからです。まずは3種目で背中の動きを体に覚えこませ、そのあとで種目を足していきましょう。
背中の筋肉は、大きく4つの筋肉に分かれます。
脇の下から腰へ広がる広背筋、首から背中の中央を覆う僧帽筋、背骨に沿って縦に走る脊柱起立筋、肩甲骨の外側にある大円筋。
上半身の広がりをつくるのが広背筋と大円筋で、姿勢を支えるのが僧帽筋と脊柱起立筋です。
名前を暗記する必要はありませんが、いま動かしている筋肉がどこにあるかを知っておくと、フォームの修正が速くなります。
| 種目 | 主に使う筋肉 | 得られる変化 |
|---|---|---|
| ラットプルダウン | 広背筋・大円筋 | 上半身の広がり |
| シーテッドロー | 僧帽筋中部・菱形筋 | 背中の厚みと姿勢 |
| バックエクステンション | 脊柱起立筋 | 腰まわりの安定 |
上の3台で、背中の主要な4筋肉をひととおりカバーできます。
「引き下ろす」「引き寄せる」「体を起こす」という3方向の動きがそろっているためです。
ケーブルプルオーバーやアシストチンニングも背中の定番ですが、8週間たって背中の動きがつかめてから足しましょう。
最初から5種目に手を出すと、1種目あたりの反復回数が減り、フォームが固まるまでの期間が延びます。
体重70kgの男性を想定した開始重量の目安を挙げます。
「10回目でフォームが崩れそうになる」重さが正解です。
12回を余裕でこなせるなら軽すぎますし、8回目で背中が丸まるなら重すぎます。
セット数は各3セット、休憩は60〜90秒を目安にしてください。

効かない原因は才能でも体質でもなく、フォームのズレ3つに集約されます。
背中は視覚で確認できないため、ズレたまま何ヶ月も続けてしまう人が多いのです。
バーを握った手に力を入れて引くと、背中より先に上腕二頭筋と前腕が限界を迎えます。
ジムを出るころに腕だけ張っているなら、ほぼ全員がここでつまずいています。
対策は「肘でバーを床方向に押し下げる」と考えかたを変えること。
手はフックだと割りきり、握力を7割くらいに緩めてみてください。
バーの位置ではなく肘の軌道を目で追うと、背中の関与が変わります。
引く瞬間に肩が耳へ近づくと、広背筋ではなく僧帽筋上部が主役になります。
首の付け根だけ疲れる人は、動作の開始前に肩を下げる工程が抜けています。
座ったらまず、バーを持ったまま肩を耳から遠ざけましょう。
肩を下げた状態を保ったまま引く。1回ごとにリセットするのがコツです。
40kgで10回引けているつもりでも、体をのけぞらせて反動で持ち上げていれば、背中の仕事量はほとんど増えません。
ジムでいちばん多い失敗といえます。
いったん重量を10kg落とし、上体の反動を使わずに3秒かけて戻す。
回数が減っても構いません。
「戻すときにゆっくり耐えられる重さ」が、いまのあなたに合った重量です。
感覚に頼らず判断できる基準を2つ持っておきましょう。
1つ目は動作中の疲労の位置。
最後の2回で先に限界がくる場所が、脇の下から背中の中央にかけてなら成功です。
前腕や上腕の前側なら、腕で引いています。
2つ目は翌日から翌々日の張り。
トレーニングの24〜48時間後に、脇の下や肩甲骨の下あたりが張っていれば背中は仕事をしました。
首の付け根だけ張っているなら、肩がすくんでいた証拠。
筋肉痛の有無だけで判断する必要はありません。
慣れてくると筋肉痛は出にくくなるため、扱う重量が8週間で伸びているかどうかも合わせて確認してください。

背中トレーニングの世界には、根拠のないまま広まった通説がいくつもあります。研究データを見ると、初心者ほど損をしている思い込みが3つ浮かびあがってきました。
グリップは広く握る必要はありません。
バーの端を握っても、背中の筋活動は増えないからです。
ノルウェー科学技術大学などのAndersenらの研究(2014年)は、ラットプルダウンのグリップ幅を肩峰間距離の1倍・1.5倍・2倍で比較しました。
広背筋・僧帽筋・棘下筋のいずれも、筋活動に有意差はありません。
むしろ6RMで扱えた重量は、狭め80.3kg・中間80.0kgに対し、広めは77.3kgと下がりました。
広く握るほど扱える重量だけが減る計算になります。
肩幅の1.5倍前後を基準に、肩に違和感の出ない幅を選んでください。
マシンとフリーウェイト、筋肥大の効果に関しては対等です。
「マシンは初心者用で、本気で大きくするならフリーウェイト」という前提が、そもそも成り立ちません。
Haugenらが2023年に『BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation』へ発表したメタアナリシスは、13件の研究・1016名を統合し、フリーウェイトとマシンで筋肥大に有意差がないと報告しました。
最大筋力については、フリーウェイトで測ればフリーウェイト群が、マシンで測ればマシン群が伸びるという、テスト形式に応じた差が出ただけです。
マシンを卒業する必要はありません。
フォームが安定する分だけ背中に集中しやすい、合理的な選択肢だといえます。
気休めではなく、筋肥大の差として観測されています。
「意識しろと言われても意味がわからない」で片づけると、同じ回数をこなしても伸びが変わる可能性があります。
ニューヨーク市立大学のSchoenfeldらの研究(2018年)では、トレーニング未経験の男性30名を2群に分け、8週間介入しました。
「筋肉を意識する」よう指示された群の上腕屈筋群は12.4%増、「重量を上げる」よう指示された群は6.9%増。
同じ種目、同じ回数で約1.8倍の開きが出ています。
ただし、注意点が2つあります。同じ研究で大腿四頭筋には差が出ませんでした。
さらに測定したのはアームカールとレッグエクステンションという単関節種目であり、多関節種目のラットプルダウンにそのまま当てはまる保証はありません。
それでも、動かす筋肉へ注意を向けるだけならコストはゼロ。試す価値のある工夫だといえるでしょう。

背中を変えるのに必要な期間は、週2回で8週間です。
頻度を増やすより、同じフォームを16回反復するほうが背中の動きは早く身につきます。
トレーニング初日は重量を追わないようにしましょう。
ラットプルダウンを最軽量(15〜20kg)に設定し、肩を下げる、肘で引く、3秒で戻すの3工程だけを20回繰り返します。
スマートフォンを横から立てかけて動画を撮ると、思っているより上体がのけぞっている事実に気づけます。
所要時間は15分程度。物足りなく感じても、初日は種まきだと考えましょう。
| 曜日 | 種目 | セット×回数 |
|---|---|---|
| 火曜 | ラットプルダウン | 3×10-12 |
| 火曜 | シーテッドロー | 3×10-12 |
| 火曜 | バックエクステンション | 2×15-20 |
| 土曜 | シーテッドロー | 3×10-12 |
| 土曜 | ラットプルダウン | 3×12-15 |
| 土曜 | バックエクステンション | 2×15-20 |
所要時間は1回あたり35分ほど。
背中は大きな筋肉なので、48〜72時間の間隔を空けてください。
火曜と土曜の組み合わせなら、間隔も自然に確保できます。
同じ重量で12回を3セット連続でクリアできたら、2.5kg増やします。
増やした直後に10回へ落ちても問題ありません。
落ちた回数を12回まで戻し、また2.5kg足す。
地味な往復ですが、筋肉が成長する条件は負荷の漸進的な増加です。
3ヶ月続けても変化を感じない場合は、重量の増やしかたか、そもそもの摂取カロリーに原因がある可能性があります。
食事の見直しについては、あわせて【トレーナー直伝】タンパク質で太らない!賢い取り方5選もご覧ください。
背中の筋トレは、マシン3種目・週2回・8週間から始めれば形になります。要点を整理します。
明日ジムに行ったら、まずラットプルダウンの重量を10kg下げてみてください。
回数は減りますが、背中が仕事をしている感覚はその日のうちに変わるかもしれません。
効果の出かたには個人差があり、痛みが出る場合は中止して専門家に相談しましょう。
関連記事:ジム初心者が最初の1ヶ月でやるべきこと/ラットプルダウンのアタッチメント別の使い分け
【参考文献】
※本記事は一般的な運動情報の提供を目的としており、医療上の効果を保証するものではありません。持病がある場合や痛みが続く場合は、医療機関にご相談ください。