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「懸垂ができるようになりたい」
「どうすれば懸垂ができるようになるの?」
こんなお悩みありませんか?
懸垂ができない原因は「単なる筋力不足」だけではありません。多くの人が、懸垂に必要な「身体の使い方」や「隠れた筋肉の重要性」を見落としています。
そこで今回は、
をプロのトレーナーが科学的な視点で解説します。
この記事を読み終えれば、懸垂ができるようになる具体的な解決方法がわかります。逆三角形のたくましい背中を手に入れるための第一歩を、ここから踏み出してください。
もくじ

多くの人にとって、懸垂は難しい運動です。懸垂ができない人に良く見られる原因は次の3つ。
それぞれ解説します。
1つ目の原因は、負荷の調整ができない点にあります 。
ラットプルダウンなどのマシン種目であれば、自分の筋力に合わせて軽い重量からスタートできます。しかし、懸垂はいきなり「自分の体重」すべてを持ち上げなければなりません。
たとえば、ベンチプレスでいきなり自分の体重と同じ重さを持ち上げようとしても、初心者には困難です。これと同じことが懸垂でも起きています。基礎筋力がない状態で、いきなり高負荷なトレーニングに挑んでしまっているのです。
2つ目の原因は、背中以外の「隠れた筋肉」が弱点になっていることです 。
「ラットプルダウンで高重量が引ければ、懸垂もできるはず」と思われがちですが、研究データによると両者の筋力にはあまり相関関係がありません 。
その理由は「体幹(コア)」と「僧帽筋下部(そうぼうきんかぶ)」の関与です。懸垂は空中で姿勢を安定させるために、腹筋などの体幹部や、肩甲骨をコントロールする僧帽筋下部が強く働きます。
これらの筋肉が弱いと、いくら広背筋が強くても力がうまく伝わらず、身体を持ち上げることができないのです。
3つ目の原因は、非効率なトレーニング方法です 。
「懸垂ができるようになるために、とにかく懸垂を繰り返す」 「毎回限界まで追い込んでいる」
これらは、回数を伸ばす段階では逆効果になることがあります。1回もできない状態で無理に行おうとすればフォームが崩れますし、毎回限界まで行うと疲労が蓄積し、質の高い練習ができなくなるからです。
現在のレベルに合った適切な負荷と頻度でアプローチすることが、上達への近道です。

懸垂ができない人も、正しいステップでトレーニングすれば、必ずできるようになります。ここでは、懸垂0回から10回できるようになるための具体的な3つのステップを解説します 。
詳しく解説していきます。
まだ1回もできない、あるいは数回しかできない場合は、基礎的な「引く力」と「耐える力」を養います。そのためのトレーニングは3つ。
取り組みやすいトレーニングから始めてください。

インバーテッドロウ(斜め懸垂)は、懸垂に必要な「背中の筋肉で引く感覚」と「身体を一直線に保つ体幹力」を養うのに最適なトレーニングです。
ジムにある「スミスマシン(バーの軌道が固定されたマシン)」や、公園にある「低い鉄棒」を使用して行います。
懸垂よりも強度は低いですが、正しいフォームで行えば非常に効果的です。やり方は次の通り。
準備とセットアップ
まずはバーの高さを調整します。
スタートポジション
動作(引く・戻す)
まずは「膝を曲げた状態」から始め、10回×3セットが余裕を持ってできるようになったら、足を伸ばして行うスタイルにステップアップすることをおすすめします。

ネガティブ懸垂は、自力で身体を持ち上げられない人が、最短で懸垂をマスターするための「裏ワザ」的なトレーニングです。通常の懸垂とは逆の手順で、「下りる動作」だけを集中して行います。
筋肉は、縮むとき(持ち上げるとき)よりも、伸びながら耐えるとき(下ろすとき)のほうが強い力を発揮できるという特性があります。
やり方は以下のとおり。
トップポジション(上がりきった状態)を作る
まずは、懸垂のゴール地点である「顎(あご)がバーの上にある状態」を作ります。
重力に逆らってゆっくり下りる
ここからがトレーニングの本番です。
腕が伸びきるまで耐える

スキャプラ・プルアップ(肩甲骨懸垂)は、懸垂の「最初の10センチ」を攻略するための非常に重要なトレーニングです。
多くの人が懸垂で失敗する原因は、初動で「肩がすくんでしまう」ことにあります。これを防ぎ、背中の筋肉(僧帽筋下部)を正しく起動させるための練習法です。
腕の力はいっさい使いません。「肩甲骨の上げ下げ」だけで身体を持ち上げます。
準備(ぶら下がる)
動作(下げる・寄せる)
キープして戻す
5回程度できるようになったら、回数を伸ばすための「反復練習」に切り替えます。
それぞれ解説します。

バンド懸垂(アシステッド・プルアップ)は、自分の体重を持ち上げられない人が、「実際に身体を引き上げる感覚」を養うための最強のトレーニングです。
マシン(ラットプルダウン)と違い、空中でバランスを取る必要があるため、懸垂に必要な体幹も同時に鍛えられます。
準備(バンドのセット)
スタートポジションへ入る
ここは少し慣れが必要です。
動作(引く・戻す)
グリース・ザ・グルーブ(Grease the Groove)は、回数が伸び悩んでいる人が壁を突破するための「筋トレというより、スキルの練習」に近いメソッドです。
「筋力アップ=限界まで追い込む」という常識を捨て、脳の神経回路を書き換えることで、驚くほどラクに回数を伸ばすことができます。
その具体的なやり方とルールは以下のとおりです。
準備(回数の設定)
まずは、自分の現在の「限界回数」を知り、トレーニングする回数を決めます。
実践(こまめに行う)
まとまった時間にセットを組むのではなく、1日の中で分散させて行います。
イメージ: 「通りがかりに鉄棒があったら、サクッと2回やって、すぐに立ち去る」ような感覚です。
頻度: 1セット終わったら、最低でも15分以上、できれば1時間以上の休憩を空けます。
合計: 1日に5セット〜10セット行います。
10回の壁を越えるためには、あえて負荷を増やす「加重」が効果的です。
加重懸垂は、ディッピングベルトやダンベルを足に挟み、2.5kg〜5kg程度の重りを追加します 。
これまで以上の負荷をかけることで、自重だけになったときに身体が驚くほど軽く感じられ、回数の限界を突破できるようになります。

懸垂のトレーニング効果を最大化し、怪我を防ぐためには正しいフォームが欠かせません 。次の3点に注意しましょう。
詳しく解説します。
手幅は「肩幅よりもこぶし1.5個〜2個分外側」を目安にします。 手幅が狭すぎると腕(上腕二頭筋)に頼りやすくなり、広すぎると可動域が狭くなってしまいます。背中(広背筋)に最も効きやすく、肩への負担が少ない位置を見つけましょう。
いきなり腕で引こうとしてはいけません。 まずは「肩を耳から遠ざける」ように肩甲骨を下げ(下制)、その後に肘を引いていきます。この「スキャプラ・プルアップ」の動きを初動に入れることで、背中の筋肉を確実に使えるようになります 。
足がバタついたり、腰が反りすぎたりすると力が逃げてしまいます。 腹筋とお尻に力を入れ、頭から足先までが一直線になる「ホロウボディ」の姿勢を保ちましょう。体幹を固めることで、背中の力が無駄なく身体の引き上げに使われます 。

通常の懸垂(プルアップ)以外にも、いくつかのバリエーションを取り入れることで、多角的に背中を鍛えることができます 。
手のひらを自分に向けてバーを握る方法です。 上腕二頭筋(力こぶ)の関与が強くなるため、通常の懸垂よりも比較的楽に行えます。初心者が「引く」感覚を掴むのに適しています。
手のひらが向かい合うように(パラレルグリップで)握る方法です。 手首や肩への負担が少なく、自然な軌道で引くことができます。関節に違和感がある方や、バリエーションとして背中の中部を狙いたい場合におすすめです。
ケーブルマシンを使い、床に膝をついて行うラットプルダウンです。 座って行うよりも体幹を使う必要があり、実際の懸垂に近い身体の使い方を習得できます。ジムにケーブルマシンがある場合は、補助種目として積極的に取り入れましょう 。

最後に、効率よく成長するためのスケジュール例を紹介します。
頻度:週2回 背中のトレーニング日を週2回設け、その第1種目として懸垂の練習を行います 。
メニュー例(0回〜4回レベル):
ポイント:
懸垂ができないのは才能の問題ではなく、正しい「身体の使い方」と「段階的なアプローチ」を知らないことが原因です。 今回ご紹介した、0回から10回達成するための最短ステップは以下の通りです。
本記事で紹介した手順で進めれば、誰でも懸垂ができるようになり、Tシャツの似合う逆三角形のたくましい背中が手に入ります。まずは週2回、焦らず基礎からトレーニングを始めてみてください。
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