コラムColumn
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あなたのHIIT(高強度インターバルトレーニング)、本当に効果が出ていますか?
「時間がないけどやせたい」「効率よく体力をつけたい」という目的とは裏腹に、ただ疲れるだけの運動になっていませんか?
もしそうなら、それはHIITの「強度」や「やり方」が間違っているからかもしれません。
この記事では、最新の研究に基づき、科学的に正しい「真のHIIT」とは何か、たった10分で完結する自宅・ジム両対応の完璧なトレーニングメニューをご紹介します。
この記事を読み終えれば、以下のことが明確になります。
正しい知識と方法さえ守れば、驚くほど短時間で「脂肪燃焼」や「体力向上」といった効果を実感できるようになります。
もくじ

最も効果的な10分メニューは「強度」と「アクティブレスト」を組み合わせたものです。ここでは自宅・ジムそれぞれで実践できる、科学的根拠に基づいた最良なメニューを紹介します。
自宅で行う場合、器具なしで心拍数を最大まで高められる種目が最適です。
以下の流れで、「全力運動1分」と「アクティブレスト1分」を交互に5セット(合計10分)行います。休息中は完全に止まらず、その場で軽く足踏み(アクティブレスト)を続けてください。
ジムでは、エアロバイクやスピンバイクの使用が最もおすすめです。
理由は、関節への負担が少なく、怪我のリスクを抑えながら高強度を狙えるためです。トレッドミルでの全力疾走は関節へのストレスが大きいため、安全かつ効果的に行うならバイクが最適です。
方法は非常にシンプルです。
上記サイクルを5回繰り返します(合計10分)。
HIITの効果を最大化するコツが「アクティブレスト(積極的休息)」です。
これは、インターバル間の休息中に完全に静止するのではなく、軽く動き続けることを指します。
なぜなら、心拍数を高いレベルで維持したまま次の運動インターバルに入れるため、セッション全体の総酸素消費量が増加し、カロリー消費や生理学的改善が促進されるからです。
たとえば、自重メニューなら「その場での軽い足踏み」、バイクメニューなら「軽いペダリング」など、回復を妨げない程度の動きを維持することが重要です。
次にHIITの意味を解説します。

HIIT(高強度インターバルトレーニング)とは、単なるインターバル走ではありません。その本質は、運動中にどれだけ体を追い込めるかという「強度」にあります。
HIITの正しい定義は、単なる「運動と休息の繰り返し」ではなく、「極めて高い強度の運動」と「短い休息」を交互に繰り返すトレーニングです。
なぜなら、HIIT特有の恩恵(短時間での劇的な効果)は、手順や時間ではなく、その高い負荷によってのみ得られるからです。
1996年の田畑泉博士の研究(タバタ・プロトコル)で有名になりましたが、多くの人がこの「強度」の重要性を見落としています。手順だけを真似ても強度が低ければ、それはHIITとは呼べません。
重要なのは時間や回数ではなく、疲れるまでやることでもなく、いかに最大強度に近い負荷をかけるかです。
HIITとして成立させる最も重要な要素は、運動中に「最大心拍数の85%以上」を維持することです。
これが達成できていない場合、それはHIITではなく、ただの中強度インターバルトレーニングになってしまいます。
最大心拍数は、人が発揮できる1分間あたりの心拍数(心臓が拍動する回数)の最大値のこと。
最も簡単な計算式(簡易式)は以下。
最大心拍数 (bpm)= 220 – 年齢
たとえば25歳の場合、最大心拍数の目安(220-年齢)は195拍です。そのため、その85%である毎分165拍(165 BPM)以上がHIITの目標強度となります。
この高い強度こそが、短時間で心肺機能や運動能力を劇的に向上させる源泉なのです。
心拍数モニターがなくても強度を測る簡単な方法が「トークテスト」です。
これは、全力で運動している最中、または運動直後に会話ができるかを試す方法です。
もしスラスラと文章を話せるようなら、強度が不足しています。
本当に追い込めていれば、息が上がりすぎて「一言、二言を発するのがやっと」という状態になるはずです。この「キツさ」こそが、HIITが正しく行われている証拠であり、驚くべきメリットにつながります。

HIITの最大の魅力は、その圧倒的な「時間効率」にあります。ただし、その恩恵を受けるには、相応の「キツさ」というデメリットを受け入れなければなりません。
HIITは、従来の有酸素運動と比較して、非常に短い時間で同等以上の効果を発揮します。
ある研究では、心血管フィットネスや体重減少において、40分間の中強度の有酸素運動と比較し、たった13分間のHIITで同等以上の効果が得られることが示されています。
忙しい現代人にとって、これ以上ないメリットと言えるでしょう。
短時間で済む分、トレーニングは非常にキツくなります。
前述のとおり、常に最大心拍数の85%以上を維持する必要があるからです。
この「キツさ」こそがHIITの最大のデメリットであり、多くの人が継続できなくなる理由でもあります。楽をして短時間で効果が出る、そんな魔法のトレーニングではありません。全力を出す覚悟が必要です。

HIITはその強度の高さゆえに、正しい頻度とやり方で活用することが重要です。ここでは、目的別の活用法と、レベルに合わせた組み方を解説します。
HIITは非常に強度の高いトレーニングであり、体への負担が大きいため、十分な回復期間が必要です。
推奨される頻度は週に1〜3回です。
毎日行うと回復が追いつかず、逆にパフォーマンスが低下したり、怪我のリスクが高まったりします。必ずセッション間に1日か2日の休息日(回復日)を設けましょう。
心肺機能の維持・向上が目的なら8分~10分でも十分ですが、脂肪燃焼によるカロリー消費が主目的なら、合計20分のワークアウトを目指すのが望ましいです。
10分間のHIITでは、主なエネルギー源は糖質であり、脂肪燃焼効果は運動後に期待する(アフターバーン)形になります。
しかし、ある研究では、20分間の自重HIITで約240~360kcalの消費が報告されており、運動中のカロリー消費を直接的に高めたい場合は、時間を延ばすことを検討すべきです。
HIITに絶対の「運動:休息」比率は存在しません。最も重要なのは、運動インターバル中に最大強度を維持できることです。
フィットネスレベルに合わせて、以下の比率を目安に調整するのが安全で効果的です。
まずは「1:2」から始め、強度が維持できるようになったら「1:1」、最終的に「2:1」へと比率を高めていきましょう。

HIITで効果を出すには、正しい種目を選ぶことが不可欠です。多くの人がやりがちな「筋トレ」との混同は、最も避けるべき間違いです。
HIITの目的は、あくまで心拍数を最大レベルまで高めることです。
しかし、腕立て伏せ、加重スクワット、シットアップ(腹筋運動)などの筋力トレーニングでは、心拍数が上がる前に筋肉が先に疲労してしまいます。
その結果、目標心拍数に安全に到達することが困難になります。これらの運動は、HIITとは別の筋力トレーニングセッションで行うべきです。
HIITに最適なのは、全身を使い、短時間で心拍数を爆発的に高められる運動です。
特にバーピーは、研究でサイクリングスプリントと同等の生理学的効果をもたらすことが示されています。
高強度で動くため、怪我のリスクは常に伴います。
自分のフィットネスレベルを過信せず、安全に強度を高められる種目を選ぶことが最も重要です。
今回は、たった10分で高い効果を生む「真のHIIT」について、実践メニューから理論、注意点までを解説しました。
今回の重要なポイントをまとめます。
多くの人が「HIITをやっているつもり」になっていますが、正しい「強度」と「やり方」で行えば、驚くほど効果的です。
「時間がない」を言い訳にする必要はありません。 週に数回、この記事で紹介した10分間の「本気の時間」を作るだけで、あなたの体力と体は確実に応えてくれます。
この記事を読んだ今日が、あなたの体が変わる最初の日です。 まずは紹介したメニューから、1種目だけでも全力で試してみてください。