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僧帽筋上部が硬くなる意外な理由とは?根本解消へ導く3ステップ

肩がこるのは、僧帽筋上部の硬さと血行不良が主な原因です。しかし、どれだけ肩をマッサージしても「肩こり」はよくなりません。

本記事では、肩こりになる本当の原因と、科学的な解決方法をご紹介します。

今回お伝えする3つのアプローチを実践すれば、僧帽筋上部の緊張が解消され、マッサージ通いの日々から卒業できます。

「なぜ肩が凝るのか」を正しく理解し、今日から根本解決への一歩を踏み出しましょう。

僧帽筋上部とは:首と肩をつなぐ「肩こり」の主要な筋肉

肩こりを感じたとき、無意識に手が伸びる首の付け根から肩にかけてのエリア。そこにあるのが「僧帽筋上部(そうぼうきんじょうぶ)」です。

この筋肉は、重たい頭を支えたり、腕を持ち上げたりする重要な役割を担っています。

しかし、その役割ゆえに、もっとも負担がかかりやすく、ガチガチに固まりやすい場所でもあります。 ここでは、僧帽筋上部の構造と働きについて、わかりやすく解説します。

僧帽筋上部の場所と構造

僧帽筋は、首から背中にかけて広がる大きな筋肉です。そのなかでも「上部」は、以下の場所をつないでいます。

  • 後頭部(頭の後ろの骨)
  • 鎖骨の外側(肩の先端)

この2点をつなぐことで、首と肩の滑らかなラインを形成しています。 本来はゴムのように柔軟性のある筋肉ですが、デスクワークなどで頭が前に出ると、常に引っ張られることになります

その結果、筋肉が緊張し続け、血行不良を引き起こしてしまうのです。

日常生活での主な働き

僧帽筋上部は、日常生活のなかで次のような動作を行うときに働きます。

  • 肩をすくめる動作
  • 重い荷物を持ち上げるとき
  • 頭を後ろに倒して上を見るとき

たとえば、寒い日に思わず肩をすくめたり、電話を肩と耳で挟んだりするときに強く働きます。 無意識のうちに力が入ってしまうことが多く、気づかないうちに疲労が蓄積していることがほとんどです

僧帽筋上部がガチガチに硬くなる本当の原因

僧帽筋上部が硬くなり、肩こりになる主な原因は以下の3つです。

  • 僧帽筋下部や前鋸筋がサボっている
  • 肩甲骨が正しく動いていない
  • 首や体幹が不安定

それぞれ最新の知見に基づき解説します。

原因①僧帽筋下部や前鋸筋がサボっている

僧帽筋上部が硬くなる最大の原因は、本来働くべき他の筋肉が機能低下を起こしていることです。これを「代償動作」と呼びます。

肩の関節や肩甲骨を動かすためには、多くの筋肉が協力し合う必要があります。特に重要なのが以下の2つの筋肉。

  • 僧帽筋下部(そうぼうきんかぶ):肩甲骨を下に引き下げる筋肉
  • 前鋸筋(ぜんきょきん):肩甲骨を前に押し出し、肋骨に沿わせる筋肉

研究によると、肩に不調を抱える人の多くは、これらの筋肉の活動が減少していることがわかっています。

本来働くべき仲間(下部僧帽筋や前鋸筋)が仕事をサボっているため、僧帽筋上部が一人ですべての仕事を肩代わりし、過労状態になっているのです。

この状態で僧帽筋上部だけを責めても(揉んでも)、解決にはなりません。

原因②肩甲骨が正しく動いていない

僧帽筋上部の緊張は、肩甲骨の動きの異常とも密接に関係しています。

腕を上げたり動かしたりするとき、肩甲骨は「上方回旋(じょうほうかいせん)」「後方傾斜(こうほうけいしゃ)」という複雑な動きをする必要があります。

しかし、現代人の多くはデスクワークなどで姿勢が崩れ、この正常な動きができなくなっています。

正常な動きができないまま無理に腕を動かそうとすると、身体は僧帽筋上部を過剰に使って、無理やり肩を持ち上げようとします。

日々の動作のクセが、知らず知らずのうちに肩こりを作り出しているのです。

原因③首や体幹が不安定

僧帽筋上部の硬さは、身体を守るための「防御反応」である可能性もあります。

人間の身体は、体幹や首が不安定になると、末端の筋肉を固めてバランスを保とうとする性質があります。

  • 首(頚椎)に問題がある
  • 体幹(コア)が弱くグラグラしている
  • 胸周りの動きが固い

このような状態にあるとき、脳は「頭や首が危ない!」と判断し、首に近い僧帽筋上部に指令を出してガチガチに固めさせます。

つまり、この緊張は身体を守るための「ギプス」のような役割を果たしているのです。

なぜマッサージだけでは肩こりが治らないのか

「肩が凝ったからマッサージに行く」 これは一般的な行動ですが、慢性の僧帽筋上部の痛みに対しては、逆効果になることさえあります。その理由を詳しくみていきましょう。

原因ではなく「結果」にアプローチしているから

前述のとおり、僧帽筋上部の硬さは「結果」であって「原因」ではありません。

  • サボっている筋肉(前鋸筋など)がある
  • 肩甲骨の動きが悪い
  • 体幹が弱い

これらの根本原因を放置したまま、結果として固くなっている僧帽筋上部だけをほぐしても、原因が解決されていないため、すぐにまた固くなります。これが「揉んでもすぐに戻る」現象の正体です。

身体の機能回復には「近位から遠位へ(Proximal to Distal)」という原則があります。

脊椎や肋骨、肩甲骨といった身体の中心に近い部分の機能を取り戻すことが先決であり、筋肉そのものをほぐすのは優先順位が低いのです。

ゆるめると逆に身体が不安定になるリスクがある

もし僧帽筋上部の緊張が、首や体幹を守るための「保護的な緊張」だった場合、それを無理やりほぐすことは危険です。

身体を支えていたギプスを急に外すようなものなので、身体はバランスを崩し、不安定になります。

すると脳は、不安定になった身体を再び守るために、以前よりも強く筋肉を緊張させようとするでしょう。

「マッサージを受けた翌日に、余計に痛くなった(揉み返し)」という経験がある場合、この防御反応が働いている可能性があります。

僧帽筋上部の緊張を解いて、肩こりを解消する3つのアプローチ

では、どうすれば僧帽筋上部の過剰な緊張を根本から解消できるのでしょうか。 ポイントは、固いところをほぐすのではなく、サボっている機能を「再教育」することです。

ここでは、自宅でもできる効果的なアプローチを3つ紹介します。

1. サボっている「前鋸筋」を目覚めさせる

最も重要なステップは、肩甲骨の動きを正常化する「前鋸筋」のスイッチを入れることです。前鋸筋は感覚をつかむのが難しい筋肉ですが、以下のエクササイズで活性化できます。

おすすめのエクササイズ:ウォールスライド(Serratus Wall Slides)

  1. 壁に向かって立ち、前腕(肘から手首)を壁につけます(フォームローラーがあれば前腕で挟みます)。
  2. 肘で壁(またはローラー)を軽く押しながら、腕をゆっくりと上にスライドさせます。
  3. このとき、肩がすくまないように注意し、肩甲骨が外側に広がりながら前に出る感覚を意識します。
  4. 上までいったら、ゆっくりと元の位置に戻します。

この動作により、僧帽筋上部に頼らずに腕を上げる正しいパターンを身体に覚え込ませます。

2. 背骨(胸椎)の動きを滑らかにする

肩甲骨の土台となる「胸郭(肋骨と背骨)」の動きをよくすることも不可欠です。特に猫背気味の人は胸椎(背骨の胸の部分)が固まっているため、ここを緩めます。

おすすめのエクササイズ:胸椎の伸展(Bench T-Spine Mobility)

  1. ベンチや椅子、ソファの前に膝立ちになります。
  2. 両肘をベンチの上に乗せ、両手合わせます。
  3. お尻をかかとの方へ引いていき、胸を床に近づけるように沈み込ませます。
  4. 背中の真ん中あたりが伸びるのを感じながら深呼吸を繰り返します。

胸椎が適切に動くようになると、肩甲骨の位置が安定し、僧帽筋上部への負担が自然と減ります。

3. 首のインナーマッスルを強化する

最後に、首の位置を安定させ、保護的な緊張を解くためのエクササイズを行います。首の深層にある筋肉(深頚部屈筋群)を鍛えます。

おすすめのエクササイズ:チンタック(Chin Tucks)

  1. 仰向けに寝るか、壁に背中をつけて立ちます。
  2. あごを引いて、二重あごを作るような動きをします。
  3. 後頭部で床や壁を軽く押すイメージを持ちます。
  4. 首の前側の奥に力が入るのを感じながら、5秒キープしてリラックスします。

この運動により、頭の位置が正しいポジションに戻り、僧帽筋上部が頭を支える負担から解放されます。

まとめ

僧帽筋上部のしつこい肩こりは、マッサージだけでは解決しません。根本原因である「機能不全」を改善することが、快適な身体を取り戻す近道です。

本記事の要点は以下のとおりです。

  • 僧帽筋上部の硬さは「代償」や「防御」の結果である
  • 下部僧帽筋や前鋸筋の機能低下が主な原因
  • マッサージだけでなく、サボっている筋肉の再教育が必要
  • まずは前鋸筋のエクササイズから始めるのが効果的

今日から、ただ「揉む」のではなく、「正しく動かす」習慣を取り入れてみてください。 まずは紹介した「ウォールスライド」を1日10回行うことから始めましょう。1週間続けるころには、肩の軽さの違いを実感できるはずです。

根本原因ではなくて、今すぐ楽になりたい方は、【5分で解消】つらい肩こりの原因は肩甲骨!プロが教える簡単ストレッチ5選を参考にしてください。