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筋トレの最適なセット数とは?科学が示したスイートスポット

「ジムで何時間も筋トレしているのに、体が大きくならない」
「筋トレって何セットやればいいの?」

そんなお悩みありませんか?やみくもにトレーニングしても、筋肉は成長しません。努力が結果につながらないと、つらいですよね。

しかし、安心してください。

この記事を読めば、筋トレの効果を最大化する適切なセット数がわかります。最短ルートで理想の体を手に入れましょう。

筋トレは1部位あたり週10~20セットが最適解

筋肉を効率よく大きくしたいなら、1つの部位に対して「1週間で合計10セット~」を目指しましょう。これが、現在の研究で示されている「スイートスポット(最適解)」です。

多くの人が1日に行うセット数を考えます。しかし、重要なのは1日の回数ではなく、1週間の総負荷量(ボリューム)です。

プロのトレーナーは、長期の目線でセット数を計算しています。

科学が示した「週10セット~」の根拠

2017年に行われた大規模な研究分析(メタアナリシス)によると、週単位のセット数と筋肉の成長率には、明らかな関係があると結論づけられています。

  • 週5セット未満: 筋肉は現状維持、もしくはわずかに成長する
  • 週5セット〜9セット: 筋肉は着実に成長する
  • 週10セット以上: 筋肉の成長率が最大化する

つまり、週に1回ジムに行き、ベンチプレスを3セットやるだけでは、筋肉を劇的に変えるには不十分だということです。劇的な変化を求めるなら、その倍以上のボリュームが必要になります。

やりすぎは逆効果!20セットまでがおすすめ

「それなら、週に30セットやれば3倍の効果が出るのか」と考えるかもしれません。しかし、それは間違いです。

週20セットを超えると、成長の効果は頭打ちになります。

そればかりか、疲労が回復しきれずに「オーバートレーニング」になるリスクも。

たくさんやればいいわけではありません。もっとも効率がいいのは、週10~20セットの間。まずは週10セットを目標にメニューを組んでみましょう。

筋トレのセット数は週2~3回に分散させる

週10セットを行う際、1日でまとめて10セットやるのはおすすめしません。週に2回から3回に分けて行うことが、筋肉を効率よく育てるカギです。

1日にすべてを行うと質が低下する

たとえば、月曜日に胸のトレーニングをまとめて10セット行ったとします。後半のセットでは、疲労で重い重量が扱えなくなったり、フォームが崩れるはず。

筋肉を大きくするためには、すべてのセットで質の高い刺激を与える必要があります。後半の5セットが適当になってしまえば、筋トレ効果は半減します。

  • 悪い例: 月曜日にベンチプレスを10セット行う
  • 良い例: 月曜日に5セット、木曜日に5セット行う

このように分割することで、毎回フレッシュな状態で質の高いトレーニングができます。

頻度を増やすと筋合成のチャンスが増える

筋トレをしたあと、筋肉が合成される(大きくなろうとする)時間は、およそ48時間から72時間といわれています。

週に1回しかトレーニングしない場合、週の後半は筋肉が合成されない「空白の時間」ができてしまいます。しかし、週に2回、3回と刺激を与えることで、常に筋肉が合成されるモードを維持できます。

「週10セットを、週2回以上に分けて行う」。これが最強の組み合わせです。

初心者は週5セット以下からでもOK

ここまで「週10セット」と強調してきましたが、トレーニングを始めたばかりの人は焦る必要はありません。初心者のうちは、少ないセット数でも十分に体は変わります。

初心者は少ない刺激でも体は反応する

運動経験の少ない体にとって、バーベルやダンベルの刺激は強烈です。週に3セットから5セット程度でも、体は「このままでは耐えられない」と判断し、筋肉を太くしようとします。

いきなり上級者のマネをして週10セット以上行うと、激しい筋肉痛で動けなくなったり、ケガをしたりする原因になります。まずは週5セットから始めて、体が慣れてきたら徐々にセット数を増やしていくのが賢い方法です。

漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)の原則が大事

筋肉を成長させるうえで、セット数よりも大切なルールがあります。それは「漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)の原則」です。

これは「前回よりも少しだけハードにする」というルールのことです。

  • 重さを1kg増やす
  • 回数を1回増やす
  • 休憩時間を短くする

どのような形でもかまいません。前回の自分を少しでも超えることが重要です。セット数はあくまで手段のひとつです。この原則を無視してセット数だけ増やしても、筋肉は大きくなりません。

セット数よりも正しいフォームが重要

回数やセット数にとらわれすぎると、本質を見失います。もっとも重要なのは、安全に正しいフォームでトレーニングできているか、です。

反動を使うと効果が半減する

重いものを持ち上げようとして、体を反らせたり、勢いをつけて持ち上げたりしていませんか。これを「チート(反則)」と呼びます。

チートを使うと、本来効かせたい筋肉以外の力を使ってしまいます。

たとえば、力こぶを鍛えるアームカールで体を揺らして持ち上げると、背中や肩の力を使うことになります。これでは、何セット行っても力こぶは太くなりません。

1回1回の質を高める意識を持つ

すべての動作をコントロールしてください。

  • 上げるときは、爆発的に上げる
  • 下げるときは、重さに抵抗しながらゆっくり下ろす

とくに「下ろす動作」は筋肥大において重要です。筋肉が引き伸ばされながら力を発揮するとき、筋繊維にもっとも強い刺激が入ります。雑に下ろす動作は、成長のチャンスを捨てているのと同じです。

「10セット終わらせること」を目的にせず、「10セットすべてで完全に筋肉を使い切ること」を目的にしてください。

セット間の休憩は2分~しっかり休む

セット数と同じくらい重要なのが、セット間の休憩時間(インターバル)です。休憩を短くしたほうが疲労感が多く「やった感」はあります。しかし、高強度の筋トレの場合は、インターバルでしっかり休むことも重要です。

休憩不足はトレーニングの質を下げる

筋肉を動かすエネルギーが回復するには、ある程度の時間が必要です。休憩が30秒程度だと、エネルギーが回復しきらないまま次のセットを迎えることになります。

その結果、扱える重量が落ちたり、回数がこなせなくなったりします。これは「筋肉が疲れた」のではなく、「エネルギーが切れた」だけの状態です。これでは筋肉に十分な物理的ストレスを与えられません。

しっかり休んで全力を出し切る

近年の研究では、セット間の休憩を「長め(2分〜3分)」にとったグループのほうが、短時間(1分)のグループよりも筋肥大の効果が高かったという結果が出ています。

  • 多関節種目(スクワット、ベンチプレスなど): 3分〜5分休む
  • 単関節種目(アームカールなど): 2分〜3分休む

息が整い、筋肉の熱が少し引くまでしっかり休みましょう。そのうえで、次のセットで全力を出し切るほうが、トータルの効果は高くなります。

セット数の他に、栄養と睡眠も大事

もし、あなたがここまで解説した「週10セット」「週2回の分割」「適切な休憩」を守っているのに成長しないなら、食事と睡眠に問題があるかもしれません。

筋肉は栄養が不足していると成長しない

筋トレは、あくまで「筋肉を太くしろ」という命令を出すスイッチにすぎません。実際に筋肉を作るのは、食事からとる栄養素です。

とくにタンパク質は必須です。体重1kgあたり、毎日1.6gから2.2gのタンパク質をとる必要があります。体重60kgの人なら、約120gです。これは、鶏むね肉に換算すると約600gにもなります。

通常の食事だけでとるのが難しい場合は、プロテインパウダーを活用してください。

寝ている間に筋肉は作られる

「筋肉はジムではなく、ベッドの上で作られる」という言葉があります。睡眠不足は、筋肉を分解するホルモンを増やし、合成するホルモンを減らしてしまいます。

最低でも7時間、できれば8時間の睡眠を確保してください。どれだけハードなトレーニングをしても、睡眠をおろそかにすれば努力は水の泡です。

筋トレと休養の関係については超回復とは?筋肉が成長しない人が知っておくべき基礎知識で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

まとめ

筋トレの最適なセット数について解説しました。科学的なデータに基づき、無駄を省いて最短で結果を出すための方法は明確です。

これまでの内容を整理します。

  • 1部位につき週10セットを目指す(週20セット以上は不要)
  • 1日ですべて行わず、週2回〜3回に分けて行う
  • 初心者は週5セットから始めて、徐々に増やす
  • 反動を使わず、丁寧なフォームで行う
  • セット間の休憩は2分以上しっかりとる
  • 食事と睡眠を徹底し、筋肉の材料を届ける

あなたが今日からやるべきことはシンプルです。

「今のトレーニングメニューを見直し、1部位あたりの週合計セット数を数えてください」

もし週10セット未満なら、種目を増やすか頻度を上げて10セットに近づけましょう。もし週20セットを超えているなら、勇気を持ってセット数を減らし、その分1回1回の質を高めてください。

正しい知識でトレーニングを行えば、体は必ず応えてくれます。今日からのジムワークを変えて、理想の体を手に入れましょう。