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「筋トレと有酸素、ダイエットならどっちが先?」と悩んでいませんか?
ジムに行って、最初に筋トレをやるか、ウォーキングをやるか、迷ってしまう人は少なくありません。間違った順番でトレーニングすると、ダイエットの効果は半減してしまいます。
そこで今回の記事では、運動の専門家が最新の研究に基づき、「脂肪を減らし筋肉を維持する」最適な運動順序を解説。
最後まで読めば、筋肉を維持しながら効率よくダイエットする方法がわかります。2分で読めますので、スキマ時間にでもご一読ください。
もくじ

ダイエットを成功させたいなら、運動の順序は「筋トレを先に行い、その後に有酸素運動を行う」のが最適です。
なぜなら、この順序が「脂肪を減らし、筋肉を維持する」というダイエットの2つの目標を両立させる、最も論理的な戦略だからです。
なぜ「筋トレが先」が重要なのでしょうか?理由を3つの側面から解説します。
筋トレを先に行う最大の理由は、筋肉を維持・成長させるための「トレーニングの質(ボリューム)」を確保できるからです。
ダイエットの成功には、筋肉を落とさないことが非常に重要。筋肉は基礎代謝を維持し、リバウンドを防ぐ「ダム」のような役割を果たします。
もし有酸素運動を先に行うと、体は疲労し、その後の筋トレで本来上げられるはずの重さや回数をこなせなくなります。研究では、このパフォーマンス低下が最大8時間も続くことが示されています。
フレッシュな状態で筋トレの質を最大化し、筋肉に「成長しろ」というシグナルを送ること。これが筋トレ先行の絶対的なメリットです。
さらに、筋トレを先に行うと、運動が終わった後にもうれしい効果が待っています。
筋トレのような高強度の運動は、運動後の「EPOC(運動後過剰酸素消費)」を高めます。
EPOCとは、通称「アフターバーン効果」と呼ばれるもの。運動後も体は興奮状態にあり、回復のために通常より多くのカロリーを消費し続けます。
たとえば、ジョギングのような低強度な運動より、高強度な筋トレの方がEPOCははるかに大きく、長時間持続します。研究によれば、この効果は最大48時間続く可能性も。
運動中だけでなく、寝ている間もカロリー消費が続く状態を作るために、筋トレは非常に効果的なのです。
そして、最新の科学は、さらに根本的なメカニズムを解き明かしています。
最新の代謝理論では、運動による脂肪減少の鍵は「栄養再分配」にあると考えられています。
これは、高強度の筋トレで筋肉にダメージを与えると、運動後に摂取した栄養素(カロリー)が、脂肪として蓄積されるのを後回しにし、筋肉の修復・成長へと優先的に送り込まれる仕組みです。
つまり、筋トレは「食べたものを筋肉の材料にし、脂肪に行きにくくする」スイッチを入れる行為なのです。
このスイッチを最強にするためには、筋トレの質を最大化することが必要。だからこそ、疲労する前の「筋トレ先行」が、合理的と言えます。
では逆に、多くの人がやりがちな「有酸素運動が先」には、どんな問題があるのでしょうか?

「有酸素運動が先」の順序は、ダイエットの観点からは推奨されません。
その理由は、ダイエットの目的である筋量維持を妨害するリスクがあるからです。
ウォーミングアップ程度の軽い有酸素なら問題は少ないかもしれません。しかし、本格的にランニングなどを行うと、疲労困憊してしまいますよね。
その結果、メインであるはずの筋トレが「おまけ」になり、ダイエットの効率が著しく低下するのです。
複数の研究が、有酸素運動を筋トレの前に行うと、筋力やパワーの発揮が低下することを示しています。
ある研究では、高強度の有酸素運動を行った後、筋トレ(レッグプレス)の総反復回数が有意に減少しました。この悪影響は、運動から8時間経過しても回復しなかったのです。
朝ランニングして、夜ジムで筋トレ、という場合でも影響が出る可能性があります。
「総反復回数(ボリューム)」こそが筋肉を維持・成長させる鍵です。それを直接妨害してしまうのが、有酸素運動先行の最大のデメリットです。
そして、この筋トレの質の低下が慢性化すると、恐ろしい結果につながります。
筋トレの質が落ち、筋肉量が維持できなくなると、リバウンドしやすい体質になります。
カロリー制限だけのダイエットや、有酸素運動ばかりのダイエットで筋肉が失われると、基礎代謝が低下。
基礎代謝が低いと、以前と同じ量を食べても太りやすくなります。
ダイエットのゴールは、体重計の数字を減らすことではなく、脂肪が減り、筋肉が維持された「引き締まった体」と「リバウンドしない体」を手に入れることのはずです。
とはいえ、「有酸素運動を先にやっても脂肪は減る」という話もあります。その疑問について、科学的にスッキリさせましょう。

「でも、総消費カロリーが同じなら、順序は関係ないのでは?」という疑問は、ある意味で正しいです。
実際、多くの研究を統計的に分析した「メタアナリシス」という信頼性の高い研究手法では、驚くべき結論が示されています。
それは「長期的な脂肪減少」という点だけを見れば、筋トレ→有酸素運動でも、有酸素運動→筋トレでも、統計的に「有意な差はない」というものです。
重要なのは、順序よりも「総運動量」と「長期間の継続」である、と。
「じゃあ、どっちでもいいの?」と思うかもしれません。それでも専門家が「筋トレ先行」を推奨する理由があります。
メタアナリシスが「差なし」と結論付けたのは、あくまで「脂肪減少」という指標についてです。
研究では、様々な集団(初心者、高齢者など)のデータが「平均化」されます。統計的な平均では差が出なくても、個人のパフォーマンスには差が出ています。
先ほど見たように、有酸素運動先行は筋トレのパフォーマンスを低下させます。これは事実です。
つまり、統計上「脂肪減少」は同等だとしても、「筋トレの質」が低下するリスクをわざわざ負う必要はない、というのが専門家の見解です。
この「一見矛盾する」事実こそが、ダイエットの本質を示しています。
ダイエットの成功を「脂肪減少+筋量維持」の2つを達成すること、にした場合、答えは明確です。
「脂肪減少」の効果が同じなら、「筋量維持」のリスクがない「筋トレ先行」を選ぶのが、合理的といえるでしょう。
この基本原則を踏まえた上で、あなたの目的や状況に合わせた具体的な戦略をご紹介します。

結論は「筋トレ先行」ですが、ライフスタイルや優先順位によって、最適な戦略は少し変わります。
科学的根拠に基づいた、4つの実践的なパターンを紹介します。
自分の目的はどれに近いか、考えながら読み進めてください。
あなたの状況に最適な答えがきっと見つかります。
「脂肪を減らし、筋肉を維持する」という体組成改善を最も効率よく目指すなら、この順序です。
筋トレの質を最大化し、筋量維持のシグナルを守りつつ、その後の有酸素運動でカロリー消費を上乗せします。
フレッシュな状態でスクワットやベンチプレスを行い、その後に20〜30分程度、息が弾むくらい(中強度)の有酸素運動(ジョギングやバイク)を行うのが王道です。
迷ったら、まずはこの「筋トレ→ 有酸素運動」の順序を徹底してください。
「ジムにいる時間が限られている」「効率よく総カロリー消費を高めたい」人には、サーキットトレーニングがおすすめです。
これは、筋トレと有酸素運動を、交互に行う方法です。
たとえば、「スクワット→ジャンピングジャック→プッシュアップ→(休憩)→バーピー→ケトルベルスイング」のように、心拍数を高いレベルで維持しながら筋力にも刺激を与え続けます。
研究では、このサーキット形式が、運動後のカロリー消費(EPOC)を最も高めたという報告もあります。時間効率と強度を両立できる戦略です。
最近人気のHIIT(高強度インターバルトレーニング)も時短トレーニングとして人気です。詳しくは自宅でOK!10分でやせる「真のHIIT」おすすめメニューで解説しています。
もしあなたの最優先目標が「マラソンで速くなりたい」「トライアスロンを完走したい」ことであれば、話は別です。
この場合、最も重要なトレーニングは有酸素運動(持久系)の質になります。
筋トレを先に行うと、その後のランニングの「疲労困憊に至るまでの時間」が短縮することがわかっています。
そのため、持久系アスリートが専門的なトレーニングを行う場合は、メインである有酸素運動を先に行うのが合理的です。ただし、これはダイエットの観点からは最適ではないことは理解しておきましょう。
スケジュールの都合(例:ジムへの移動がランニング)で、どうしても有酸素運動を先にしか行えない場合もあるでしょう。
その場合は、次善策として、有酸素運動の「種類」を工夫してください。
研究では、「ランニング」は「サイクリング」よりも、その後の筋トレに対して重大な干渉(悪影響)を引き起こすことが報告されています。
もし有酸素運動を先にやるなら、ランニングよりも、筋トレへの悪影響が少ない「サイクリング(バイクマシン)」を選ぶことを強く推奨します。
最後に、この記事の要点を復習しましょう。
今回は、ダイエットにおける運動順序について、科学的に解説しました。
ダイエット目的なら、「筋トレを先に、有酸素運動を後に」です。
この記事の重要なポイントをまとめます。
もしスケジュールの都合で有酸素運動が先になる場合は、ランニングより「サイクリング」を選ぶことで、悪影響を最小限に抑えられます。
ただ、大切なことは、あなたが「継続できる」方法を見つけること。 この記事を参考にしながら、あなたのライフすらいるにあう方法で、運動を継続してください。