コラムColumn
フィットネスや健康経営に役立つ情報をコラムで発信中!
ウェルネスライフを深く知り、明日の行動に活かしてみませんか?
「フォームローラーをコロコロするだけで痩せる」 SNSやネットで、そんな甘い言葉を見かけたことはありませんか?
結論をいいます。フォームローラーで、直接脂肪は燃えません。
しかし、 筋膜リリースは脂肪を燃やしませんが、「痩せやすい体」をつくる最強の土台になります。
今回の記事では、プロのトレーナーが、痩せるための筋膜リリース活用術を「科学的な目線」でわかりやすく解説します。
読み終えるころには、ビックリするほどダイエットの効率が高まり、成功へ近づくはずです。
もくじ

筋膜リリースの本来の役割は「動きやすい」カラダづくりです。詳しく解説していきます。
残念ながら、筋膜リリースそのものに直接的な脂肪燃焼効果はほとんどありません。
よくある誤解と、科学的な事実を以下の表に整理しました。
| よくある誤解 | 科学的な事実 |
| ×ゴロゴロするだけで痩せる | 消費カロリーはごくわずか 筋膜リリースの消費カロリーは、軽い運動あるいはそれ以下です。これをメインの運動にして痩せることは非常に困難です。 |
| ×脂肪やセルライトを潰せる | 脂肪は物理的に潰せない 外からの力で脂肪細胞を破壊することは不可能です。サイズダウンしたように感じるのは、むくみが解消されたことによる一時的な効果です。 |
フォームローラーの上で動いているだけで体重が減るわけではないのです。
しかし、筋膜リリースには、ダイエットを支える重要な役割があります。
筋膜リリースの本来の役割は、身体の「潤滑油」をスムーズにすることです。
「筋膜(きんまく)」とは、全身の筋肉を包み込んでいる、伸縮性のあるボディスーツのようなもの。
このボディスーツの内側には、筋肉同士がスムーズに滑り合うための潤滑油のような物質が存在します。
健康な状態であれば、この潤滑油はサラサラで、私たちは身体を自由に動かすことができます。
しかし、以下のような生活習慣が続くと、身体に変化が起こります。
これらが続くと、潤滑油がネバネバしたハチミツのように固まってしまいます。
これが「癒着」の正体であり、身体の動きを鈍くしたり、肩こりや腰痛を引き起こしたりする原因となるのです。
筋膜リリースは、この固まった潤滑油に圧をかけ、再びサラサラの状態に戻す作業です。
よく「癒着を剥がす」と表現されますが、物理的に剥がしているわけではありません。圧をかけることで神経に「リラックスしても大丈夫」という信号を送り、筋肉の過剰な緊張を解いているのです。
こうして身体がスムーズに動く準備が整うことで、はじめてダイエットの効果を高める土台ができあがります。

筋膜リリースはダイエットの効率を高めます。なぜならダイエットの主役である「運動」の質と継続率が劇的に向上するからです。
筋膜リリースが最強のサポーターと呼ばれる理由は、大きく分けて2つ。
1つ目のメリットは、運動の効果がアップすることです。
筋膜リリースによって身体のこわばりが取れると、関節の可動域(動く範囲)が広がります。これが消費カロリーを増やすうえで非常に重要です。
たとえば、ダイエットに効果的な「スクワット」。
股関節や足首が硬い状態でスクワットを行うと、どうしても浅くしかしゃがむことができません。
一方で、筋膜リリースを行い、関節周りをほぐしてからスクワットを行うとどうなるでしょうか。
結果として、同じ10回のスクワットを行ったとしても、筋肉への刺激や消費カロリーが格段にアップするのです。
「せっかく運動しているのに痩せない」と悩んでいる人は、身体が硬いために運動の効果を十分に引き出せていない可能性があります。
2つ目のメリットは、運動を「続けやすく」なることです。
ダイエットにおいて最も重要な要素は「継続」です。どれほど効果的なトレーニングも、3日でやめてしまっては意味がありません。
しかし、多くの人が挫折してしまう原因の一つに、運動後のつらい筋肉痛や疲労感があげられます。
ここで筋膜リリースの出番です。
筋膜リリースには、血流を良くし、運動後の筋肉痛や疲労を和らげる効果が科学的に認められています。
身体のケアを取り入れることで、以下のような好循環が生まれます。
「痛い」「つらい」というネガティブな要素を取り除くことが、ダイエット成功への近道なのです。
ここからは、運動時の消費カロリーを増やすために特におすすめしたい5つの部位とやり方を紹介します。
関節の動きに関わる重要な部位をほぐすことで、身体がスムーズに動くようになり、トレーニングの質を高めることができます。

前ももは、股関節と膝関節の動きに関わる大きな筋肉です。前ももをほぐすことで、脚を前後に動かす動作がスムーズになります。
ランニングやウォーキングの歩幅が自然と広がり、運動量を増やしやすくなります。

背中が丸まっていると胸郭(肋骨まわり)が狭くなり、呼吸が浅くなりがちです。背中をほぐして胸を開きやすくすることで、深い呼吸ができるようになります。
これにより酸素を多く取り込めるようになり、有酸素運動などを長く続けられるようになります。

お尻の筋肉は、スクワットなどの下半身トレーニングにおいて非常に重要な役割を果たします。
おしりの筋肉をほぐして股関節の動きを良くすることで、お尻や太ももの筋肉を大きく動かせるようになり、トレーニング1回あたりの運動効果が高まります。

ふくらはぎが硬いと足首の動きが制限され、地面を蹴る力が弱まってしまいます。
ふくらはぎをほぐして足首を柔軟に保つことで、歩行やランニングの動作がスムーズになり、しっかりとした足取りで運動を行えるようになります。

外ももは、歩く・走るといった動作の際に身体を安定させる役割があります。
外もものこわばりを取ることで、脚の運びが軽くなり、運動中の脚への負担感を軽減できます。結果として、つらさを感じにくくなり、運動を長く継続しやすくなります。

筋膜リリースは「いつやるか」によって、得られる効果が変わります。
目的に合わせて、最適なタイミングとやり方を使い分けましょう。
運動前の目的は、身体を動きやすくし、パフォーマンスを上げることです。
これから動かす筋肉に刺激を入れ、エンジンをかけるイメージで行います。
運動前に長時間やりすぎたり、強く圧をかけすぎたりすると、逆に筋肉が緩みすぎて力が入りにくくなることがあるため注意してください。
運動後の目的は、疲労回復を早め、筋肉痛を和らげることです。
使った筋肉をいたわり、老廃物を流すイメージで行います。
「痛気持ちいい」と感じる強度が最適です。「痛ければ痛いほど効く」というのは間違いですので、リラックスできる範囲で行いましょう。
疲労回復にはプロテインも有効です。プロテインで疲労回復!効果を最大化する飲み方と3つの栄養素も参考にしてください。
お風呂上がりや寝る前の目的は、身体をリラックスさせ、睡眠の質を高めることです。
実は、睡眠とダイエットには深い関係があります。
質の良い睡眠をとることで、食欲に関わるホルモンのバランスが整います。
つまり、ぐっすり眠ることは、無駄な食欲を抑えることにつながるのです。
一日の終わりに身体をリセットするつもりで、優しくゆったりと行いましょう。
本記事では、痩せるための筋膜リリース活用術について解説しました。
要点は以下の3つです。
ダイエットの主役は、あくまで日々の「食事管理」と「運動」です。
しかし、どんなに素晴らしい主役も、最高のパフォーマンスを発揮できる環境がなければ輝けません。
筋膜リリースを取り入れ、身体という土台を整えることで、あなたの努力は確実に結果へと結びつくはずです。
まずは今日から、お風呂上がりや運動の合間に、5分間の筋膜リリースを始めてみてはいかがでしょうか。
その小さな習慣が、理想の身体への最短ルートになるでしょう。