コラムColumn
フィットネスや健康経営に役立つ情報をコラムで発信中!
ウェルネスライフを深く知り、明日の行動に活かしてみませんか?
姿勢をよくしたいと思って続けている腹筋運動、実はあなたの猫背を悪化させているかもしれません。
猫背を治したくて腹筋を頑張っているのに、一向に姿勢が良くならない…そんなお悩み、ありませんか?この記事では、トレーニングのプロが、多くの人が勘違いしているポイントを徹底解説。猫背と腹筋の意外な関係と、本当に効果的な姿勢改善トレーニングがわかります。
今日から始められる簡単な方法で、憧れのまっすぐな姿勢を手に入れましょう。
最初に結論からお伝えします。間違った方法で腹筋運動をやりすぎると、猫背は改善するどころか悪化する可能性があります。
「え、腹筋が弱いから猫背になるんじゃないの?」と思った方も多いかもしれません。もちろん、腹筋の筋力不足も猫背の一因です。しかし、やみくもに鍛えるだけでは逆効果になることを知っておく必要があります。
前に突き出た頭、丸まった両肩、そして猫のように丸まった背中…。
なぜこのような姿勢になってしまうのでしょうか。研究によれば、現代人は平均して1日に6〜8時間も座って過ごしていると言われています。そして問題は、座っている間、ほとんどの人が背中を丸めたいわゆる「悪い姿勢」になっていることです。
しかし、この猫背姿勢そのものが絶対的に悪いわけではありません。実は、体を丸めた方が作業に集中しやすいという研究結果もあるほどです。問題なのは、この丸まった姿勢のまま、毎日何時間も体が固まってしまうことにあります。
私たちの体は良くも悪くも、環境に「適応」する動物です。長時間同じ姿勢を続けていると、体はその姿勢に適応します。その結果、特定の筋肉(胸や肩の前側など)を縮こませて硬くし、反対に他の筋肉(背中やお尻など)を弱らせてしまうのです。
猫背の根本的な原因は、体の「悪い適応」によって生まれる、お腹側と背中側の筋肉の「アンバランス」にあります。
胸の筋肉が縮こまって硬くなると、肩が内側に引っ張られます。そして、背中の筋肉が弱って伸びきってしまうと、肩甲骨を寄せて胸を張る力がなくなり、頭が前に出て背中が丸まってしまうのです。
このアンバランスを解消しない限り、いくら腹筋を鍛えても、美しい姿勢を手に入れることはできません。
「腹筋」と聞いてイメージするのは、お腹の正面にある「腹直筋」、いわゆるシックスパックを作る筋肉ではないでしょうか。
実は、この腹直筋だけを一生懸命鍛えるのは、猫背改善には逆効果になることがあります。
なぜなら、腹直筋は背骨を「丸める」働きを持つ筋肉だからです。この筋肉ばかりを強化すると、体を前に引っ張る力がより強くなり、猫背をさらに助長してしまう可能性があるのです。
大切なのは、どの筋肉を、どのように鍛えるか。次の章で、猫背改善のための具体的な2ステップを見ていきましょう。
猫背を根本から改善するためには、ただ鍛えるだけでは不十分です。縮こまってガチガチになった筋肉をまず「緩めて」あげて、そのあとに弱っている筋肉を正しく「鍛える」。この2つのステップが重要です。
まずは、長年の猫背姿勢で凝り固まった筋肉をストレッチで解放し、正しい姿勢を取りやすい状態を作りましょう。
硬くなった胸と肩の筋肉を大きく開き、丸まった肩を正しい位置に戻しやすくします。
ポイントは、腰を反らさないようにお腹に軽く力を入れておくことです。痛みを感じる場合は無理せず、タオルの幅を広げて調整してください。
次に、動きが悪くなった背骨(特に胸椎)の柔軟性を取り戻し、背中を伸ばしやすくします。
筋肉がほぐれて体が動きやすくなったら、次は姿勢を支えるために弱ってしまった筋肉を鍛える番です。
お腹の深層にあるインナーマッスル「腹横筋」を鍛えます。この筋肉は天然のコルセットのようにお腹周りを安定させ、背骨を内側から支えてくれます。
ちなみに、ドローインとブレーシングは異なるエクササイズです。詳しく知りたい方は、体幹とは?ドローインとブレーシング、2つの違いを解説も合わせてお読みください。
弱って伸びきってしまった背中の筋肉(脊柱起立筋など)を強化し、背筋をまっすぐ伸ばす力を養います。
座りっぱなしで弱りがちな、お尻の筋肉(臀筋)を鍛えます。お尻の筋肉は、骨盤を安定させ、正しい姿勢を保つために非常に重要な役割を果たします。
今回ご紹介したエクササイズは、継続すれば驚くほどの効果を発揮します。しかし、より根本的に姿勢を改善し、快適な毎日を送るためには、エクササイズ以外の時間も重要です。
せっかくエクササイズで体を整えても、その後すぐにデスクに戻って何時間も座りっぱなしでは、体はまた元の悪い状態に戻ろうとしてしまいます。
大切なのは、もっと動くことを意識すること。
30分に一度は立ち上がって軽く伸びをする、エレベーターではなく階段を使う、一駅手前で降りて歩くなど、日常生活の中にこまめに動きを取り入れましょう。
実は、ウェイトトレーニングのような筋トレも、ストレッチと同じくらい体の柔軟性を高める効果があるという研究結果もあります。
体を動かす習慣こそが、美しい姿勢を永続させるための最良の方法なのです。
今回は、猫背と腹筋の正しい関係、そして美しい姿勢を作るための具体的なステップについて解説しました。この記事のポイントを最後におさらいしましょう。
今回ご紹介したトレーニングと意識を継続することで、体の軸がしっかりと安定し、意識しなくても自然と美しい姿勢を保てるようになるでしょう。正しい知識で、猫背の悩みから解放されましょう。