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「無酸素運動」は、単に息を止めてやる運動のことではありません。
無酸素運動と有酸素運動の違いを正しく理解しておかないと、ダイエットや筋トレで効果を出すことは難しいでしょう。
そこで今回は、無酸素運動の本当の意味から、あなたの体を効率的に変える驚きの効果まで、初心者向けにプロのトレーナーが徹底解説します。自宅でできる簡単なメニューも紹介するので、運動が苦手な方でも安心して読み進めてください。
もくじ
そもそも「無酸素運動」とは一体何なのでしょうか。ここでは、その基本的な仕組みと、なぜ短時間しかできないのか、エネルギーシステムについて解説します。
無酸素運動とは「短時間で大きな力を発揮する運動」のことです。 短時間で大きな力を発揮するような運動は、筋肉を動かすエネルギーを作る際に、酸素を使いません。だから「無」酸素運動を言われます。
例えば、重量挙げでバーベルを一気に持ち上げる瞬間や、100m走の全力疾走などがこれにあたります。 このように、瞬発的なパワーが求められる場面で活躍するのが無酸素運動なのです。
無酸素運動のエネルギー源は、主に筋肉に蓄えられている「糖(グリコーゲン)」です。 体は酸素を使わずに、この糖を分解して素早くエネルギーを作り出します。この仕組みを「無酸素性エネルギー供給系」と呼びます。
重いものを持ち上げる時など、急に大きな力が必要になった際に、このシステムが作動するわけです。 ただし、筋肉内の糖の量には限りがあるため、エネルギー供給は長続きしません。これが、無酸素運動が長時間続けられない理由です。
それでは次に、よく比較される有酸素運動との違いは何なのでしょうか。
よく耳にする「有酸素運動」とは、何がどう違うのでしょうか。ここでは両者の決定的な違いを比較し、あなたの目的に合わせてどちらを選ぶべきかを明らかにします。
無酸素運動と有酸素運動の最も大きな違いは、その名の通り「エネルギー生成に酸素を必要とするかしないか」です。 。 無酸素運動は糖をエネルギー源に高強度・短時間で行うのに対し、有酸素運動は脂肪を主なエネルギー源に低強度・長時間行います。 両者の特徴を以下の表にまとめました。
無酸素運動 | 有酸素運動 | |
運動強度 | 高い | 低い~中程度 |
持続時間 | 短い(数十秒~数分) | 長い(20分以上) |
主なエネルギー源 | 糖質 | 脂質・糖質 |
具体例 | 筋トレ、短距離走 | ウォーキング、ジョギング |
運動中に使われるエネルギー源は、脂肪と糖の2つですが、その使われる比率は運動強度によって変わります。 結論から言うと、無酸素運動では「糖」が、有酸素運動では「脂肪」がより多く使われるのです。
高強度の無酸素運動では、素早くエネルギーを作り出すために即効性のある糖質がメインで燃焼されます。一方、低強度の有酸素運動では、持続的にエネルギーを供給できる脂質が主に使われる傾向にあります。 つまり、「運動中に脂肪を燃やしたい」のであれば有酸素運動が有効と言えるでしょう。
結局、どちらの運動をすれば良いのでしょうか。それはあなたの「目的」によって決まります。 もしあなたが筋肉をつけたいなら無酸素運動、体力をつけたいなら有酸素運動が基本です。 以下の表を参考に、自分の目的に合った運動を選んでみてください。
目的 | おすすめの運動 |
ダイエット・脂肪燃焼 | 有酸素運動 + 無酸素運動 |
筋肉量アップ・筋力向上 | 無酸素運動 |
体力・持久力アップ | 有酸素運動 |
健康維持・生活習慣病予防 | 有酸素運動 + 無酸素運動 |
では、無酸素運動を行うことで、具体的にどのような良いことがあるのでしょうか。次にその絶大な効果を見ていきましょう。
きついイメージのある無酸素運動ですが、実はそれ以上にうれしい効果がたくさんあります。ここでは、あなたの体に起こる5つのすばらしい変化を具体的に見ていきましょう。
無酸素運動の最大のメリットは、基礎代謝が上がることです。 筋肉は、体の中で最もエネルギーを消費する組織。無酸素運動で筋肉量が増えれば、何もしなくても消費されるカロリー(基礎代謝)が増加します。
例えば、筋肉が1kg増えると、基礎代謝が1日あたり約13kcal増えると言われています。 つまり、無酸素運動を続けることで、自然と「太りにくく痩せやすい体質」に変わっていくのです。
筋力や瞬発力が向上することも、大きなメリットです。 無酸素運動は、筋肉に強い負荷をかけて筋繊維を太くするため、発揮できるパワーが大きくなります。
重い荷物を楽に持てるようになったり、スポーツのパフォーマンスが向上したりと、日常生活や趣味の活動にも良い影響を与えるでしょう。 筋力がつくことで、日々の動作が軽快になります。
無酸素運動は、生活習慣病の予防・改善にも効果的です。 筋肉は、血液中の糖を取り込んでエネルギーとして消費する働きがあります。筋トレを行うことで、この働きが活発になり、食後の血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。
実際に、糖尿病の治療ガイドラインでも運動療法が推奨されているほどです。 健康的な毎日を送るためにも、無酸素運動は非常に重要と言えます。
若々しさを保つアンチエイジング効果も期待できます。 無酸素運動を行うと、筋肉の修復や成長を促す「成長ホルモン」が分泌されます。
この成長ホルモンは「若返りホルモン」とも呼ばれ、肌のターンオーバーを促進したり、体脂肪を分解したりする働きがあります。 筋トレをすることで、見た目も中身も若々しくいられる可能性があるのです。
最後に、美しいボディラインを作れる点も魅力です。 無酸素運動によって、体を支える体幹の筋肉や、背中、お腹周りの筋肉が鍛えられます。
これにより、自然と背筋が伸びて猫背が改善されたり、お腹周りが引き締まったりします。 ただ痩せるだけでなく、メリハリのある美しい姿勢とボディラインを手に入れられるのが、無酸素運動の素晴らしいところです。
しかし、良いことばかりではありません。次に、無酸素運動を行う上での注意点も確認しておきましょう。
多くのメリットがある一方、安全に行うためには知っておくべき注意点もあります。ここでは、怪我を防ぎ、効果を最大限に引き出すための大切なポイントを解説します。
無酸素運動は、高い負荷をかけるため怪我のリスクが伴います。 特に、間違ったフォームでトレーニングを続けると、関節や筋肉を痛める原因になります。
例えば、スクワットで膝がつま先より前に出すぎると、膝関節に過度な負担がかかってしまいます。 安全に効果を出すためにも、各種目の正しいフォームを身につけることが何よりも重要です。
運動前後のケアを怠ってはいけません。 ウォーミングアップは、血流を促進して筋肉を温め、怪我を防ぐために不可欠です。
また、運動後のクールダウンは、疲労回復を早め、筋肉痛を和らげる効果があります。 ラジオ体操や軽いストレッチなど、簡単なもので構いません。トレーニングの一環として、必ず取り入れるようにしてください。
早く効果を出したいからといって、毎日ハードなトレーニングをするのは逆効果です。 筋肉は、トレーニングによって傷つき、休息をとることで回復し、以前より強くなります(超回復)。この休息時間が十分にないと、筋肉は成長せず、かえって疲労が蓄積してしまいます。
これをオーバートレーニングと言い、パフォーマンスの低下や怪我の原因にもなります。 筋肉をしっかり休ませることも、トレーニングの大切な一部だと覚えておきましょう。
では、具体的にどのような運動が無酸素運動にあたるのでしょうか。代表的なものを紹介します。
「無酸素運動」と一言で言っても、その種類は様々です。ここでは、代表的な無酸素運動の種類を3つピックアップして、具体的にご紹介します。
無酸素運動の代表格が、ウエイトトレーニング、いわゆる「筋トレ」です。 ダンベルやバーベル、専用のマシンなどを使って筋肉に負荷をかける運動全般を指します。
スクワット、ベンチプレス、デッドリフトなどが有名で、特定の筋肉を効率的に鍛えることが可能です。 ジムで行うイメージが強いですが、自分の体重を利用する「自重トレーニング」なら自宅でも十分に行えます。
スミスマシンを使ったベンチプレスについては、徹底解説!スミスマシンベンチプレスの驚きのメリット&正しいやり方で紹介していますので参考にしてください。
陸上競技の一部も、代表的な無酸素運動です。 100m走や200m走といった短距離走は、ごく短い時間で爆発的なパワーを必要とします。
また、砲丸投げやハンマー投げなどの投てき競技も、一瞬の力で物を遠くへ飛ばすため、典型的な無酸素運動と言えるでしょう。 これらの競技は、瞬発力を鍛えるトレーニングが中心となります。
最近注目されているのが、HIIT(ヒット)です。 これは「High-Intensity Interval Training」の略で、高強度の運動と短い休憩を交互に繰り返すトレーニング法を指します。
例えば、「20秒間の全力運動+10秒間の休憩」を8セット繰り返す、といった形で行います。 短時間で心拍数を一気に上げることで、脂肪燃焼効果や心肺機能の向上が期待できる効率的なトレーニングです。
次は、これらの知識を活かして、今日から自宅で始められる具体的なメニューを見ていきましょう。
ジムに行かなくても、無酸素運動は自宅で十分に始められます。ここでは、特別な器具なしで今日からできる、おすすめのトレーニングメニューを7つ厳選してご紹介します。
スクワットは、「キング・オブ・トレーニング」と呼ばれるほど効果的な種目です。 お尻や太ももといった大きな筋肉を一度に鍛えられ、消費カロリーも大きいのが特徴。 足を肩幅に開き、お尻を後ろに突き出すようにゆっくり腰を落としましょう。膝がつま先より前に出ないように注意するのがポイントです。
ランジは、ヒップアップや下半身の引き締めに効果的なトレーニングです。 足を前後に大きく開き、前の足の膝が90度になるまで腰を真下に落とします。 体のバランスをとる必要があるため、体幹の強化にも繋がります。ふらつく場合は、壁などに手をついて行っても大丈夫です。
ぽっこりお腹の解消を目指すなら、レッグレイズがおすすめです。 仰向けに寝て、両脚を揃えたままゆっくりと上げ下げする運動で、下腹部の筋肉「腹直筋下部」を直接刺激できます。 腰が床から浮かないように、手をお尻の下に敷くと安定しやすくなりますよ。
ヒップリフトは、お尻の筋肉である「大臀筋」を重点的に鍛える種目です。 仰向けに寝て膝を立て、お尻をきゅっと締めながら、肩から膝までが一直線になるように腰を持ち上げます。 美しいヒップラインを作りたい方に最適なトレーニングです。
腕立て伏せは、胸や腕、肩など上半身をバランス良く鍛えることができます。 胸を床に近づけるように、ゆっくりと体を下ろしていきます。 きつい場合は、膝をついて行っても構いません。まずは正しいフォームで1回行うことを目標にしましょう。
プランクは、お腹周りを中心とした体幹全体を鍛える静的なトレーニングです。 うつ伏せになり、肘とつま先で体を支え、頭からかかとまでが一直線になる姿勢をキープします。 簡単そうに見えて意外とキツイですが、姿勢改善や腰痛予防にも効果的です。
これらの運動を、有酸素運動とどう組み合わせれば最も効果的なのでしょうか。
無酸素運動と有酸素運動は、組み合わせることで効果が倍増します。ここでは、「ダイエット」「筋肉増量」「体力アップ」の3つの目的別に、最も効果的な組み合わせの順番とバランスを解説します。
ダイエットが目的なら、「無酸素運動を先、有酸素運動を後」に行うのが最も効率的です。 先に筋トレなどの無酸素運動を行うと、成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンには体脂肪を分解し、エネルギーとして使われやすい状態にする働きがあるのです。 その後にウォーキングなどの有酸素運動を行うことで、分解された脂肪が効率良く燃焼されます。 この順番こそが、脂肪燃焼の黄金ルールと言えるでしょう。
筋肉を大きくすることが最優先なら、無酸素運動に集中しましょう。 トレーニングのエネルギーを全てウエイトトレーニングに注ぎ込むのが理想です。
有酸素運動をやりすぎてしまうと、筋肉の分解が進んでしまう可能性があります。もし取り入れる場合は、ウォーミングアップやクールダウンとして軽く行う程度に留めるのがおすすめです。
マラソンなど、持久力を高めたい場合は有酸素運動がメインになります。 ただし、長時間の有酸素運動は筋肉を分解しやすいという側面も。パフォーマンス維持のためには、最低限の筋力を保つことが重要です。
トレーニングの中に週1〜2回程度の無酸素運動を取り入れ、筋力が落ちないようにバランスをとることが大切です。
最後に、無酸素運動の効果をさらに高めるための秘訣をお伝えします。
せっかくトレーニングするなら、最大限の効果を得たいですよね。ここでは、あなたの頑張りを無駄にしないために、絶対に押さえておきたい3つの重要ポイントを解説します。
効果を出すためには、適切な頻度で行うことが重要です。 筋肉が回復し、成長する時間(超回復)を考慮すると、毎日行う必要はありません。
まずは週2〜3回のペースから始めましょう。 全身を鍛える日を週に2回設ける、あるいは「上半身の日」「下半身の日」と部位を分けて行うのも効果的です。 無理なく継続できる頻度を見つけることが、成功への近道です。
筋肉を育てる上で「休息」はトレーニングと同じくらい重要です。 筋肉痛は、筋肉が傷ついているサイン。この状態でさらに追い込むと、回復が遅れて逆効果になることもあります。
筋肉痛がひどい場合は、無理せず休みましょう。軽いストレッチや入浴で血行を良くすることも、回復を助けます。
トレーニングの効果は、栄養補給、特にタンパク質の摂取に大きく左右されます。 タンパク質は筋肉の材料となる重要な栄養素です。トレーニングで傷ついた筋肉を修復するために、鶏胸肉や卵、大豆製品などの食品や、手軽に摂取できるプロテインなどを活用し、意識的にタンパク質を補給しましょう。
最後に、無酸素運動について多くの人が抱く疑問にお答えします。ここで疑問点をスッキリ解消して、自信を持ってトレーニングを始めましょう。
A. 短期的な脂肪燃焼効果は有酸素運動、長期的に痩せやすい体を作るのは無酸素運動です。両方を組み合わせるのが最も効果的と言えます。無酸素運動で基礎代謝を上げつつ、有酸素運動で脂肪を燃焼させるのが理想です。
A. ダイエット目的であれば、脂肪燃焼を促進する「無酸素運動 → 有酸素運動」の順番がおすすめです。筋力アップが目的なら、無酸素運動に集中し、有酸素運動は軽めに行うか、別の日に設定するのが良いでしょう。
A. 毎日はおすすめしません。筋肉は休息中に回復・成長するため、同じ部位のトレーニングは48〜72時間空けるのが理想です。オーバートレーニングを防ぐためにも、週2〜3回の頻度から始めましょう。
A. 必ずしも必須ではありませんが、飲むと非常に効率的です。特に運動後は、体が栄養を吸収しやすいゴールデンタイム。食事から十分なタンパク質を摂るのが難しい場合や、手軽に栄養補給したい場合には、プロテインの活用がおすすめです。
今回は、無酸素運動の効果や有酸素運動との違い、具体的なトレーニング方法について解説しました。
この記事のポイントをまとめます。
ただ漠然と運動するのではなく、無酸素運動の役割を理解し、あなたの目的に合わせて日々のトレーニングに取り入れることが、理想の体への一番の近道です。
まずは週に2回、自宅でできる簡単なメニューから始めてみませんか。 継続することで、あなたの体はきっと嬉しい変化を見せてくれるはずです。